振り返った陽生がクスリと笑う。


だけど向き合った瞬間気付いてしまった。


陽生の目元にうっすら浮かぶクマの痕を…



「やっぱ寝れなかったんだ。目元にクマできてるよ」


「あー……まぁ。てかやっぱダメだな、隣に果歩がいないとぐっすり寝れね―」



苦笑いを浮かべると、気まずそうに視線を落とす。


ひょっとしたら、昨日は一睡もできなかった……とか?


陽生の顔を覗き込むと、少しだけ「参ったな」というような顔を向けられて、私はたまらず目の前の首に腕を回していた。



「だったら、遠慮せずに呼びに行けばよかったな」


「えっ」


「そしたらまた私が腕枕してあげたのに…」



そっと触れるだけのキスをすると、陽生はそんな私の行動が意外だったのか、少し照れたように視線を上げた。



「もっと甘えてくれたらいいのに。別に弱った姿見せられても嫌いになったりしないよ?」



むしろもっと愛しくなるっていうか…


余計大事にしたいって思えるから、自分でも笑ってしまう。