だって、お父さんが私達のために……だなんて、どう考えても信じられない。
光治さんには悪いけど、それだけは私にとってどうやっても納得できないことだった。
そしてその日の夜、結局陽生は自分の書斎から出てくることはなかった。
そして私もまた、そんな陽生を呼びに行く勇気なんてなくて……、お互いモヤモヤとした別々の夜を過ごした。
きっとこの複雑な思いは陽生の方が遥かに重いと思う……から。
私はベッドにもぐり、祈るようにポツリと言った。
「どうかこれ以上陽生が傷つきませんように……」
そして家族3人が幸せに暮らしていけますように。
私は寝室で切実にそう願い、薄暗い部屋の中そっと一人瞼を閉じた。