「それと陽生、最後に一つだけいいか」
ドアノブを掴んだ光治さんが何故か急に動きを止め、真剣な面持ちで陽生へと視線を向けた。
「和幸をこれ以上恨まないでやってほしい」
「えっ……」
そんな言葉を吐くもんだから、私は驚いて再び陽生と顔を見合わせてしまう。
「こんなやり方になってしまったことは本当に申し訳ないと思ってる。……けどな、きっと和幸もお前達を本気で勘当しようとしたわけじゃない。お前が本当に憎かったわけじゃないんだ」
「えっ……」
「むしろその逆じゃ。お前達をわざと付き離すことでお腹の子と……お嬢さん。あんたを守ろうとしたんじゃよ」
視線を真っ直ぐ向けられた私は、思わずえっとなる。
そして陽生の表情からは再び笑みが消えていた。
「それはどういう……」
「今回のことで一番気がかりだったのは誰でもないお嬢さん、あんただ。きっと亡くなった真理子さんにあんたを重ね合わせていたのじゃろう。
しかも……、何となくだがお嬢さんは昔の真理子さんに似てると……思う。だからこそ余計に陽生と一緒になることで苦しい思いをさせるのを防ぎたかったのかもしれん」



