甘い体温②・後編・


自分のしてる行動を棚に上げてお母さんを責めるとか、本気であり得ないと思った瞬間、向かいの光治さんがとても驚くことを口にした。



「お前達はこのまま結婚しなさい」


「えっ」


「わしが許す。もちろん椎名とも縁を切らなくていい。和幸にはわしからちゃんと檄を飛ばしておいた。今後陽生の邪魔をするならこのわしが許さんと。

むしろお前を椎名家から引きずり出してやると言ったら、渋い顔で「好きにすればいい」と言っておったわ」


「えっ……」



本当に?


あのお父さんが……?


信じられない気持ちで瞬きを繰り返すと、そんな私の気持ちを悟ったのか、光治さんは急に立ち上がり、私の目の前まで来て少し腰をかがめた。



「わしはお嬢さんの味方だ。もう何も心配しなくていい。このまま陽生と一緒になりなさい」


「―――」



そっと手を握られて、優しい眼差しを向けられる。


……だけど、今の私にはやっぱり信じられない気持ちの方が大きくて、動揺したまま光治さんを見つめ返すことしかできなかった。