「お前の母親の真理子さんも実は身寄りのない人でな。産まれた時からずっと施設で育った人なんじゃよ」
その言葉を聞いて、思いっきり反応してしまったのは今度は私の方だった。
施設……。その言葉に誰よりも特別な思いを持っていたのは私なのだから…
そしてそれと同時に、「真理子さんも」という言い回しをした光治さんが私の生い立ちを全て知ってるうえで、そうなふうに言葉にしたんだということも瞬時に気づかされてしまった。
「正直に言おう。今のお前達を見てるとまるで昔のせがれ達を見てるようだよ」
そして光治さんは過去を遡るように、とてもしっかりと話してくれた。
それは驚きの連続で……、
陽生のお父さんもまた当時、父親である光治さんに想いを寄せていた相手との結婚を猛反対されていたという事実だった。
その相手はもちろん陽生を産んだ母親、真理子さん。
2人の出会いは椎名グループが経営するホテル。
社長となるべく勉強中の陽生のお父さんが当時、経営をまかされていたホテルで2人は恋に落ちたそうだ。
その時、陽生のお母さんはそのホテルの従業員だった。
そして2人はひょんなきっかけで出会い、あっとい間に恋に落ちたという。



