「――光治……さん?」
「えっ?」
みつ、じ?
思わず首を傾ける私をよそに、陽生が慌てたようにオートロックを解除する。
そして間もなくして玄関に訪れたその人を見るなり深々と頭を下げた。
「お久しぶりです」
「ああ、3年ぶりぐらいか、元気にしておったか?」
「はい、おかげ様で」
そんな様子に何だか胸が騒ぎだす。
陽生のこんな改まった姿は初めて見る気がする。
そしてこの人は何者なんだろう…
見ればとても気品漂う紺色の着物を身にまとっている。
ブルーグレーの羽織りもとても上品な雰囲気で、まるで大御所の芸能人のようなすごいオーラにゴクリと息を飲むほどだ。