「よし、もういいよ」
それから数分後、一通り掃除を終えた私はリビングで待つ優に声をかけた。
「バンドエードってある?」
「バンドエード?」
優がソファーに座りながらキョトンと見る。
「ちょっと、指切っちゃって……」
「えっ、大丈夫?」
「うん。ちょっとだけね」
私としたことが、あの後ご丁寧に指まで切ってしまった。
とほほ……
本当についてない。
「わかった、いいよ。僕のアンパンのやつがあるから持ってきてあげるね」
えっ、アンパンマン?
一瞬ギョッとしたけれど、駆けだした優があまりにも嬉しそうだったから、思わず声をかけるタイミングを失ってしまった。
まぁ……いっか。



