(ーside果歩ー)
「ありがとうございました」
「元気になってよかった。とりあえず家に帰っても安静に。2週間後の検診にちゃんと来るんだよ。お大事にね」
一週間が過ぎ、あたしは病院を退院した。
笑顔で見送ってくれた秀先生に深々とお辞儀をし、タクシーで陽生とマンションまで帰ると、ほっと全身から力が抜けていく。
「ほら、気を付けて」
「うん。ありがとう」
陽生に支えられながら部屋に入った私は、リビングのソファーに腰を落とす。キッチンに向かう陽生に視線を向けながら、ふう~と右手でお腹を擦った。
「やっと帰ってきたね」
ポツリ呟き、クスリと笑う。
久しぶりの我が家に、駆け寄ってくるブラウン。
陽生にしては珍しくソファーに衣服が散乱していて、なぜだかそんな光景でさえ嬉しく思う。
この数日で完璧だった仮面がちょっぴり剥がれ落ちているルーズな陽生。
それが私のせいにも関わらず、そんな姿にさえ愛しさが芽生えてしまうから何だか自分でも笑ってしまう。



