「………果歩?」
「果歩ちゃん!?」
そんな私の異変に気付き驚きの声を上げたのは陽生と静香さんだった。
「どうし……」
「いっ――」
だけどそんな呼びかけに答えられる余裕なんてすでになかった。
ゾクリと冷や汗が出る感覚。
ズキズキと尋常じゃない激しい痛みに襲われた私は、お腹を押さえながら陽生のズボンの裾を咄嗟に握りしめることしかできなくて
「果歩!」
そんな状態に周りの光景が騒ぎだす。
「いたっ――」
「だ、誰か、救急車!救急車を呼んで!!」
静香さんの焦った叫び声が部屋中に響く。
そしてその声に対応するかのようにバタバタと近づいてくる数人の足音。
「果歩!!」
顔を上げた瞬間、陽生の切羽詰まった顔が目の前に飛び込んできて
そしてドアへと視線を向けた瞬間、振り返ったお父さんと目があった私は――
そこでプツリと意識が遠のいでいった。