甘い体温②・後編・


「もういいから、少し落ち着け」


「でもっ!」


「もう……いいんだよ。頼むからこれ以上自分の体に負担をくかけないでくれ」



目を細めた陽生が、一瞬切なそうに目を閉じ、そして私をグイっと引き寄せた。



「お前の体が心配なんだ」


「陽……」



まるで何かを諦めたような口ぶりだった。

そしてそんな私達のやりとりを見ていた静香さんでさえも、私に向かって切なそうな顔を見せ、そして珍しく瞳いっぱいに涙を溜めていた。



「果歩ちゃ……ありがとう。でもね、本当にもういいのよ。どうせこの人に何を言っても無駄なんだもの。それが今私も十分身にしみて分かったから……。ほんと、ごめんね」



そう言って私の手をぎゅっと握り、陽生と同様何かをふっ切ったようにお父さんへと視線を向けた。



「もう、いいでしょ?いくらお父様でもこれ以上彼女を侮辱したら許さないから!彼女を傷つないで!」



それはとても怒りと悲しみが混ざり合ったような声だった。


まさか、静香さんが泣くなんて…


そんな光景に胸が詰まり、私はただただやるせない思いで唇をかみしめた。