甘い体温②・後編・


人をこんなに許せないって思ったのは久しぶりだ。


誰かに対してこんなに怒りに震えたのも、ひょっとしたらこの人が初めてかもってぐらい、完全に理性がぶっ飛んでいく。



「な、にが期待外れよっ、それはこっちのセリフよ!バカにするのもいい加減にしなさいよ!」



もう陽生のお父さんだとか、椎名グループの社長だとかそんなのは頭から綺麗さっぱり吹き飛んでいた。


だってそれがなんだっていうの!?


そんなの関係ない!


ただ、この人が許せない!


そしてどうしようもなく悔しい!


悔しくてたまらない!


そんな思いでまた一歩詰め寄り、お父さんに鋭い視線を向けた私は



「さっきから聞いてればバカにした発言ばかり、あなたはいったい何様よ!社長がそんなに偉いわけ!?親だからってやっていいことと悪いことの区別もできないの!?
人の純粋な気持ちをなんだと思ってるのよ!!」



いっそこのままビンタでも交わしてやりたい!


そんな衝動をかろうじて押さえながら、私は拳を強く握りしめる。