「マジ、ふざけんなよ……」
「別にふざけてなんかない。私ははあくまで人生の忠告をしているだけだ」
「これのどこが忠告だよ。ほとんど脅しじゃねーか!第一生い立ちとか、身分だとかそんなの今時関係ないだろう。悪いが俺はあんたらと違って都合のいい感情は持ち合わせてないんでね」
ふざけるのにも程がある。
何が人生のパートナーだ。
こんなバカげたこと……
「言っとくが俺は自分の決めた相手としか結婚はしない。自分の人生は自分で決める。あんたの都合のいいようには動かない、絶対にな!」
鋭く睨みつけると、親父の表情もさらに強張ったものに変わっていく。
「本気か」
「ああ、本気だ。俺は果歩以外の女に興味はない!」
これだけははっきり言える。
分からないなら分かるまで何度でも言ってやる。
果歩以外の女と結婚するぐらいなら一生結婚しない方がましだ。
俺は最後にそう告げて、再び扉の方へと足を向けた。



