「いったい何を考えててやがる!こんなことしてどうするつもりだ!」
まさか、裏でこんな卑怯なことしてたなんて…
耐えきれず、俺は声を荒上げた。
「別に私はただ、息子の将来を心配してちょっとばかし身辺調査をしただけだ。お前ももういい年なんだからそろそろ落ち着いてもいい頃だろう」
「ふざけるな!だからってやっていいことと悪いことの区別もつかないのかよ!こんな犯罪まがいなことしやがって……」
「陽生、将来のパートナーはちゃんと考えて選べよ」
「はっ?」
親父がだるそうにソファーに腰を下ろし、そして煙草に火をつける。
「悪いがな、ちょっと調べさせてもらったよ」
そう言って親父が1枚の書類に目を通す。
「あんまり関心できたお嬢さんじゃないじゃないか。生い立ちもそこそこ、とても椎名家にふさわしい人材とは言えないな」
ふーっと吐きだされた煙が、空中を嫌な色で舞っていく。
その瞬間、本気でプチっと血管が切れたような気がした。



