甘い体温②・後編・


「いったい何を考えててやがる!こんなことしてどうするつもりだ!」



まさか、裏でこんな卑怯なことしてたなんて…


耐えきれず、俺は声を荒上げた。



「別に私はただ、息子の将来を心配してちょっとばかし身辺調査をしただけだ。お前ももういい年なんだからそろそろ落ち着いてもいい頃だろう」


「ふざけるな!だからってやっていいことと悪いことの区別もつかないのかよ!こんな犯罪まがいなことしやがって……」


「陽生、将来のパートナーはちゃんと考えて選べよ」


「はっ?」



親父がだるそうにソファーに腰を下ろし、そして煙草に火をつける。



「悪いがな、ちょっと調べさせてもらったよ」



そう言って親父が1枚の書類に目を通す。



「あんまり関心できたお嬢さんじゃないじゃないか。生い立ちもそこそこ、とても椎名家にふさわしい人材とは言えないな」



ふーっと吐きだされた煙が、空中を嫌な色で舞っていく。


その瞬間、本気でプチっと血管が切れたような気がした。