甘い体温②・後編・



「陽生を、捨てるの?」




――ぎゅっと拳をつくる。
気づいたら、私は目の前の背中に向かってそう叫んでいた。


一瞬にして過去の記憶が甦り、瞳の奥に鮮明に広がっていく。




やっと分かった。


この痛み、この感じ。


あの時に似てるんだ。


14才の冬。


母親に捨てられたあの時の状況によく似てる。



私は要らない。


もう必要ない。


なんの価値もないんだって思い知らされた、あの時のなリアルな自分――



そうだ。


だからさっきからこんな違和感。


胸の奥が掻きむしられたみたいにズキズキと、痛むんだ。