甘い体温②・後編・


「本当、お前には失望したよ。まさかこんな仕打ちをさせられるとは」


「―――」


「昔からそうだった。お前は私の言うことなど一切聞かん。ひたすら私に歯向かい、椎名から離れようとする。おまけにあんな所で医者なんぞやりおって」



ゴホン…


咳払いをして、冷めた言葉を放つ。


もはや呆れてものも言えないって感じだろうか?


視線を向けないまま言葉を向ける姿は、やっぱり冷やかで、優しさのかけらも感じられない。



「まったく、期待外れもいいとこだ。今まで育ててもらった恩も忘れやがって、こんなことならもっと早くお前を追い出しておけばよかった。初めからしっかりと見切りをつけておくべきだった」



なっ…


ひどっ。


何もそこまで…



「もうお前の好きなように生きなさい。そこのお嬢さんと仲良く結婚ごっこでも何でもすればいい。今日限りお前とは赤の他人だ。今後一切私の前に姿を現わさないでくれ」



椅子ごと背を向けるお父さん。


もう話すのも億劫だと言うように口を閉ざし、窓の外へと視線を向け、そして携帯を取り出した瞬間――







ズキン……


あれ?まただ。


胸の奥に鈍い、痛み。


何だろう…


この感じ。


この気持ち。


まるでハンマーで頭を横から殴られたみたいに、耳の奥がキーンとする。