「――ふっ、ご愁傷様」
「ほう――、なるほど。これは面白いじゃないか」
お互い目を見ることなく淡々と飛び交う会話。
お父さんは若干眉を寄せたものの、それを見ても特に酷い動揺は見られなかった。
「――で?こんなものを見せていったいどうするつもりだ」
「別に?そのままの意味だけど?ただ……。あんたも詰めが甘いなとおもってな。散々でかい口叩いてたと思ったら、こんなふうに親友に足元を引っ張られるとか……」
「くだらん。だからこれがなんなんだ。……まさか、これぐらいのことで私が動揺するとでも?ふっ。馬鹿馬鹿しい……
こんなことぐらいで私がどうにかなるとでも思ったか」
そう言ったお父さんがすぐに手元にある電話に手を伸ばす。そしてそのまま何のためらいもなく低い声で誰かと会話をし始めた。
「―――」
その内容は神崎グループとの取引をすべて破棄しろという、とても一方的で恐ろしいもの。
まるで感情がない。
使えなくなったおもちゃを簡単に捨てるように、お父さんは用件だけを淡々と告げて、電話をあっさりと切った。



