「ていうか。もうYESしか受け付ける気なんてないんだけどな」
「陽生……」
真顔になった陽生が私を真剣に見据える。
「―――」
いいの?
本当にいいの?
もう一度この手を掴んでも。
この温もりに飛び込んでも、いい?
「…わ、たし……」
動揺した瞳で見つめると、目の前の瞳がふっと緩み、耳元に陽生の力強い声が落ちてくる。
「果歩が必要なんだ。俺にはもう…、果歩しかいない。果歩と一緒じゃない幸せになんてなれないんだよ。だから……
この先もずっと俺の側にいてくれ」
そんなふうに囁かれ、私の耳の鼓膜が今まで感じたことがないぐらいドクンと震えた。
「あ……」
そして気付けば甘く柔らかな温かさに包まれ、私は我に返ったように再び涙をこぼしていた。
ガチガチと今まで必死に堪えていた我慢が、ブチっと崩壊した瞬間
――ああ、そっか。
うん、そうだ。
もう迷う必要なんか、ない。
そんなの考えなくても決まってる。
だって私の心はいつだって陽生中心で。
最初から。
ここに来た時から。
ここに追いかけて来た時点ですでに私の気持ちはちゃんと定まってるんだから……



