「あ……」



それは緑色の枠でふちどられた真新しい婚姻届。


すでに左半分陽生の名前が書かれたそれは、私の目の前で信じられないぐらいの存在感を放ってる。




「これ……、本気、なの?」



声が震える。


ドキドキと胸が高鳴る半面、やっぱり不安丸出しの表情しかできない私は、どうしようもないんだと思う。



だって、いったいいつこれを?


どんな思いで書いてくれたの?


聞きたいことは沢山あるはずなのに、臆病な私はそれさえも上手く言葉にできない始末…




「当たり前だろ。冗談でこんなことできるか」


「でも……」


「果歩。もう、「でも…」とか、「何で…」とかそんな否定的な言葉なんか聞きたくない。俺が聞きたいのはお前の本心だけ。
YESか、NOか。それ以外の言葉以外はもう受けつけないから」