どうして?
瞬時にそう感じながらも、甘い痺れに涙腺がポロポロとこぼれ落ちる。
キスが深さを増して、私の思考回路を完全に奪い去っていく。
「…んっ……」
何度も角度が変わる。
情熱的に、まるで私のすべてを奪うかのような強引なキスに、体から力が抜けて崩れ落ちそうになってしまうけれど
「果歩……」
深く、口内に舌を押し入れられて気持ちがドキドキと高ぶっていく。
ずっと欲しかった温もり。この感覚を前にして、抵抗なんてできるわけがない。
「はるっ……」
名前を呼ぼうとした瞬間、そっと唇が離れいく。
そして重なり合う視線と視線。
両手は壁に押さえ付けられたまま。
目の前の陽生がとても優しい声でふっと笑った。



