「お前とミサさんが一緒になってくれれば椎名家、神崎家共々非常に都合がいい。神崎とうちが家族になれば、この先安泰な将来を約束されたのも当然なことだ。実に喜ばしいことじゃないか」



その言葉に唖然とした。


それってつまり…



「政略結婚ってことかよ……」


「政略結婚か……フッ、そう思いたければそう思ったらいい。……けど、ミサさんの方はお前に相当惚れてるみたいだし、あながち100%そうとも言えないとも思うがな」



パサッと書類が音を立てる。


再び俺から書類に目を向けた親父に、俺は茫然と立ち尽くすしかできなかった。



「別にそんなに目くじら立てることでもないだろう。お前もいい大人なんだから、少しは世間体っていうものを考えればそんなに騒ぎ立てることじゃないと思うがな」


「ふざけんなっ!そんなわけねーだろ!本人の気持ち無視して何が世間体だ!非常識すぎんだよ!」



何がたいしたことじゃないだ!


こっちは大ありなんだよ!



「さっきから黙って聞いてれば、好き勝手なこと言いやがって!」



冗談じゃねぇ!