通路の角を曲がり、エレベーターの前で止まる。
「お願い、早く……」
そしてボタンを押そうと立ち止まった瞬間、背後に影がかかり、突然グイっと手を引っ張られた。
「あ……」
そう思った時にはすでに視界がグルッと回っていた。
足が絡まり、ドンっと背中に冷たくて硬い感触がして、そっと優しく押し当てられる。
「―っ――」
「捕まえた」
そんな声と共に、唇が強引に塞がれた。
熱く、とても情熱的なキスが広がって、私は「ん……」と言葉を失いその感触に頭の中が真っ白になる。
だけど……
「―っ――」
知ってる、この感覚……
熱くて甘い、とびっきりの感触を……
もう何度も、幾度と重ね合ってきた、この大好きな温もりを――…



