そう思った瞬間、勢いよく玄関を飛び出していた。
夢中で、もう何も考えられなくて。
ううん、何も考えていたくなんかない。
「陽生!」
そして無意識に彼の名前を呼んでいた。
ごめんなさい。
やっぱり無理だよ。
私には無理。
自分の気持ちを押し殺すなんて絶対できないよ。
陽生が好きなの!
好きで、好きで。
この気持ちだけには嘘なんか付いちゃいけない!
例え自分勝手だったとしても。
めちゃくちゃ矛盾だらけだったとしても。
それでも私。
私は――…
「…っ……」
まだ、間に合う?
まだやり直すことができる?
もう一度……
もう一度だけでいいから。
お願い。
もう一度――…



