甘い体温②・後編・


そう思った瞬間、勢いよく玄関を飛び出していた。


夢中で、もう何も考えられなくて。


ううん、何も考えていたくなんかない。



「陽生!」



そして無意識に彼の名前を呼んでいた。


ごめんなさい。


やっぱり無理だよ。


私には無理。


自分の気持ちを押し殺すなんて絶対できないよ。



陽生が好きなの!


好きで、好きで。


この気持ちだけには嘘なんか付いちゃいけない!


例え自分勝手だったとしても。


めちゃくちゃ矛盾だらけだったとしても。


それでも私。


私は――…








「…っ……」



まだ、間に合う?


まだやり直すことができる?


もう一度……


もう一度だけでいいから。


お願い。


もう一度――…