陽生の手が私の頭をそっとひと撫でして、そして名残惜しそうに消える――
ゆっくり去っていく背中。
パタン……
玄関のドアが静かに閉まる音がして、足音がゆっくりと遠ざかっていった。
「あ……」
残された部屋で、意識がだんだんとクリアになっていくのが分かる。
はっきりと鮮明になる感覚の中、私は壁にもたれたまま、息を殺すしかできなくて――
終わった。
瞬時にそう感じた。
そう
これでいい。
これでいいんだ。
きっとこれで……
そう思うのに、私は目の前の状況を把握して、ぎゅっと胸元を握りしめる。
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