陽生が切なさを押し殺すように笑顔をつくる。
その表情は、痛々しいぐらい悲しげで。
次の瞬間、私の頭からぬくもりが消えて、陽生が私の顔を両手でそっと覆った。
「果歩……」
とても優しいキスだった。
そして苦しくて、切ない…
目を見開いた私に、まるでお別れの挨拶のように額に落ちてきた陽生のキス。
それは熱く、だけど微かに震えていて、今までされたどの口づけよりもとても儚いものだった。
「今まで……ごめん」
目を伏せた陽生が目の前で囁く。
「ずっと辛い思いさせて、嫌な思いをさせて悪かった。……けど、もう安心していい。今後いっさい俺からは果歩に近づかないから心配するな」
「陽……」
「俺は果歩が幸せになってくれるならそれでいい。お前にとってそれが一番いい選択なら、俺はこのまま応援する。こんなカタチだけど、俺は果歩の幸せを心から願ってるから……
だから
今までありがとう」



