甘い体温②・後編・


たまらずぎゅっと拳を握りしめた瞬間、突然きつく抱きしめられた。


思わずビックリして、震える体。




「果歩……」



そんな私を見て抱きしめる力がいっそう強まった気がしたけれど……でも、それは一瞬だった。


数秒後、気付けばその手はゆっくりと離れ、耳元に陽生の落ち着いた声が響き落ちた。









「だったら、もうやめようか?」








そして聞こえた陽生の言葉。


まるで子供をあやすような優しいものだったけれど……でも、それはどことなく冷たくて。



「分かった。そんなに俺と一緒にいるのが嫌なら、もうやめよう。このままここで別れよう」



そう言って、私から離れようとする陽生に思わずえっと、耳を疑った。