甘い体温②・後編・


沈黙が続く…


私はぅ…と泣きながら、顔を横に振るしかできなくて。

そしてそんな中、痺れを切らした陽生がとても低い声でポツリと言った。




「果歩、顔上げろ」



さっきより、硬さを含んだ声だった。


それはまるで怒りを表してるような厳しい声で




「もう、顔も合わすのも嫌なのか?」



えっ……



「俺のこと、面倒くさくなった?」



そんな言葉に体がビクッと反応する。


泣きながら体を強張らすしかできない私に、陽生の2度目のため息が聞こえて来たけど……やっぱり何も言えず。



「そんなにここがいいのかよ。それともあいつに心変わりでも……した?」


「っ……」



ビックリして顔を上げた。


その瞬間、同じように腰を屈めた陽生と視線が重なって、思わず鼓動が飛び跳ねる。