甘い体温②・後編・


「お願いだから帰って!」



もう私のことなんてほっといて!


顔を歪めながら私はゆっくり後ろへと下がり、陽生との距離をとろうとする。


……けれど、所詮7畳ほどの空間は思いのほか狭くて、数歩下がっただけですぐに硬い壁にぶつかってしまう。





「っ……」



そして流れる涙。


そんな私を見て顔色を変えず、冷静に近づいてくる陽生にもう胸が張り裂けそうで。


再び伸びてきた陽生の手に、やっぱり首を横に振るしかできなかった。




「やだぁ……」


「果歩……」



そう言って、逃げるように床にしゃがみこむ私を見て、陽生が少しだけ眉を下げる。


そしてそのまま体操座りをして顔を埋めた私の頭上から、ふぅ~っと息を吐く気配がした。