「お願いだから帰って!」
もう私のことなんてほっといて!
顔を歪めながら私はゆっくり後ろへと下がり、陽生との距離をとろうとする。
……けれど、所詮7畳ほどの空間は思いのほか狭くて、数歩下がっただけですぐに硬い壁にぶつかってしまう。
「っ……」
そして流れる涙。
そんな私を見て顔色を変えず、冷静に近づいてくる陽生にもう胸が張り裂けそうで。
再び伸びてきた陽生の手に、やっぱり首を横に振るしかできなかった。
「やだぁ……」
「果歩……」
そう言って、逃げるように床にしゃがみこむ私を見て、陽生が少しだけ眉を下げる。
そしてそのまま体操座りをして顔を埋めた私の頭上から、ふぅ~っと息を吐く気配がした。



