だってこんなに好きなのに。
こんなに彼を求めてるのに。
もうおかしくなりそうなほど陽生の面影を探してるのに、冷たく背を向けることなんてできるわけがない。
陽生が好き……
この気持ちだけはどうすることもできないんだもん。
私はゆっくり立ち上がり、気を取り直すようにお風呂場に向かった。
そして浴槽の栓をしようとしてふと、視線を下ろした時、薬指に光る指輪を見てやっぱり陽生を思い出してしまった。
ああ、やだなぁ……
このまま本当にミサさんと結婚しちゃうのかな?
そしていつか私のことなんか忘れて、お互い別々の道を進んで……
ぎゅっと胸が締めつけられて、思わずその場にしゃがみこんでしまう。
今更ながらに実感する喪失感。
そして自分の中で生まれる嫉妬。
せっかくペアリングを買ってもらったのに、全部無駄になっちゃった。
……でも、これだけは持っててもいいよね?
あと、ガラスの靴のストラップも。
だって陽生との大事な思いでだもん。
私の人生、人を本気で愛することができた立派な証として……



