甘い体温②・後編・


だってこんなに好きなのに。

こんなに彼を求めてるのに。

もうおかしくなりそうなほど陽生の面影を探してるのに、冷たく背を向けることなんてできるわけがない。



陽生が好き……


この気持ちだけはどうすることもできないんだもん。


私はゆっくり立ち上がり、気を取り直すようにお風呂場に向かった。


そして浴槽の栓をしようとしてふと、視線を下ろした時、薬指に光る指輪を見てやっぱり陽生を思い出してしまった。




ああ、やだなぁ……


このまま本当にミサさんと結婚しちゃうのかな?


そしていつか私のことなんか忘れて、お互い別々の道を進んで……



ぎゅっと胸が締めつけられて、思わずその場にしゃがみこんでしまう。


今更ながらに実感する喪失感。


そして自分の中で生まれる嫉妬。


せっかくペアリングを買ってもらったのに、全部無駄になっちゃった。


……でも、これだけは持っててもいいよね?


あと、ガラスの靴のストラップも。


だって陽生との大事な思いでだもん。


私の人生、人を本気で愛することができた立派な証として……