そんな思いを抱えながら病院を出ると、いつの間にか真っ白の雪が道路全体を覆っていた。
やけに寒いと思ったら……
俺は思わず肩をすくめ、自分の車の鍵を開ける。
そのままエンジンをかけ、自分のマンションへとたどり着くと、背後から気配を感じ、突然ポンッと肩を叩かれた。
「―――」
「よぉ、久しぶりだな」
うっすらと浮かぶ見覚えのある影。
気だるそうな雰囲気に、人を挑発する印象的な瞳…
「ああ、確かお前は……」
「相変わらず胡散臭い顔して歩いてんじゃねーよ」
バカにしたような笑いが鼻につく。
相変わらずはお前だろ?
そんな台詞に、この冷めた態度。それは思い返すこと1年前、俺はこの男のことを知っていた。
坂下直樹……
果歩の幼馴染だ。