甘い体温②・後編・


「ったく、往生際が悪いわね。もう見苦しいから変な抵抗はやめなさいよ!」



そうやって向けられた冷やかな声。


今日はそれがやけに低く聞こえ。


そしてカツカツと怒りを含んだ音を立てて、その足音は俺の間横でピタリと止まった。



「やっと登場かよ。つーかずっと見てたんならもっと早く出てこいよ」



さっき背後で感じた気配。


それは紛れもなくこの女のもので。


俺は苦笑いを浮かべながら、その横顔に視線を向ける。



「あら、侵害ね?だってまさかお取り込み中だって思わなかったから……て言うよりあんたが電話に出ないのが悪いんでしょ?」



さすが静香……


こんな時でも余裕冷静。


俺に嫌味を言うのだけは忘れてないってか。



「つーか、ほぼ作戦通りってやつだろう?こうなること分かってて俺は電話に出なかったんだから」


「ふふ、まあね。おかげでバーッチリ録れたわよ~今の会話。
ほら、証拠収集。これでまたこっちの立場が有利になるんじゃないかしら?」