「ったく、往生際が悪いわね。もう見苦しいから変な抵抗はやめなさいよ!」
そうやって向けられた冷やかな声。
今日はそれがやけに低く聞こえ。
そしてカツカツと怒りを含んだ音を立てて、その足音は俺の間横でピタリと止まった。
「やっと登場かよ。つーかずっと見てたんならもっと早く出てこいよ」
さっき背後で感じた気配。
それは紛れもなくこの女のもので。
俺は苦笑いを浮かべながら、その横顔に視線を向ける。
「あら、侵害ね?だってまさかお取り込み中だって思わなかったから……て言うよりあんたが電話に出ないのが悪いんでしょ?」
さすが静香……
こんな時でも余裕冷静。
俺に嫌味を言うのだけは忘れてないってか。
「つーか、ほぼ作戦通りってやつだろう?こうなること分かってて俺は電話に出なかったんだから」
「ふふ、まあね。おかげでバーッチリ録れたわよ~今の会話。
ほら、証拠収集。これでまたこっちの立場が有利になるんじゃないかしら?」



