ドアを開けるとすぐ、お目当ての人物が目の前に飛び込んできた。
約20畳ほどある少し広めの書斎。
真ん中にはソファーやローテーブルが置いてあり、右端には本棚がずらり並んでいる。
そして、その中で椅子に座ったまま、大量の書類に目を通す親父にゆっくりと俺は歩み寄った。
「忙しそうだな」
「陽生か」
低い声を出した俺に、冷静な声が返ってくる。
書類に目を向けたままこっちを見もしない姿に、若干俺は呆れながら
「何か用か」
「久しぶりに会って、一言目がそれかよ」
近づきながら低い声を出す。
ほぼ数年会ってない息子に向かって、なんともそっけない対応。
でもこんな光景は当たり前のことで、今更愛想よくされても逆にこっちが困るってもんだ。
「ちょっと聞きたいことがある。つーか、今日俺が来た意味ぐらいもう分かってんだろ」
カツカツと親父の前で立ち止まりると、周りの空気が一気に張り詰めたような気がした。



