「ふ~ん。それがミサちゃんの本音?」
俺のワイシャツの襟元を掴み、必死で声を上げる彼女に待合室の空気がひんやりと冷たさを増していく。
そして俺も……
そんな彼女を見つめながら、よりいっそう心の中が冷えきっていくのが分かる。
「だからって、こんなことして楽しい?こんな風に人を陥れることをして本気でいいとでも思ってる?」
「ダメ、ですか!?だってこうでもしないと、先生は私のことなんか見てもくれないじゃないですか!?」
「―――」
「先生が好き。どうしても欲しいの!!そのために多少卑怯なことしたっていいでしょ!?それの何が悪いんですか!?」
「―――」
歪んでる、何もかも。
……けど、不思議だな。
こんな場面を見せられても、何一つ心が動かない。
彼女に対して何も。
同情すら……、むしろ余計果歩に対しての愛しさだけが増していくようで……
ふっと、思わず笑いたくなった。



