その瞬間ヒヤッとした空気が体中に流れ込んだ。
まるで今から起きる悲惨な場面を予想するかのような突き刺さる感覚。
後ろから焦った声が飛んでくる。
「ちょっ、先生ってば!!」
よっぽど俺の反応が予想外の態度だったのか、彼女の声が次第に強くなる。
そして院長室に差しかかったところで、痺れを切らした彼女が俺の手を力任せに勢いよく引っ張った。
「もう!先生ってば!!」
手を引き、俺の前に回り込んだ彼女が、眉を寄せて俺を見る。
じっと視線がぶつかり合ったとき、俺の中で何かが切れたような気がした。
「――何?」
自分でも嫌になるほど冷めた声だった。
神崎ミサ。
この顔を見るだけで、ぞっと全身から感情が無くなっていくのが分かる。



