甘い体温②・後編・


部屋にいたくなかった。


あの真っ暗な部屋に一人でいると、どうしても果歩の面影を探してしまう。



笑った顔。


怒った顔。


甘えた顔。


そして



泣きそうな顔…





その度に得体のしれない虚しさに襲われて、まるで心が粉々に壊れてしまいそうだった。







「先生?」



そのまま病院まで引き返すと、駐車場の入口からスラッとした人影が見えた。


カツカツと気高い音を響かせて、俺の目の前でニッコリと笑顔をつくる。



「こんばんは。よかった、会えた……」


「―――」



すぐに視線を逸らした。


ていうより、合わせるつもりもない。


腕を掴まれそうになり、俺はそれを避けるように彼女の横を通り過ぎた。



「――え?先生!?」



すかさず服の袖を掴まれたけど、俺は構わず裏口のドアをあけ、病院の中へと足を進める。