部屋にいたくなかった。
あの真っ暗な部屋に一人でいると、どうしても果歩の面影を探してしまう。
笑った顔。
怒った顔。
甘えた顔。
そして
泣きそうな顔…
その度に得体のしれない虚しさに襲われて、まるで心が粉々に壊れてしまいそうだった。
「先生?」
そのまま病院まで引き返すと、駐車場の入口からスラッとした人影が見えた。
カツカツと気高い音を響かせて、俺の目の前でニッコリと笑顔をつくる。
「こんばんは。よかった、会えた……」
「―――」
すぐに視線を逸らした。
ていうより、合わせるつもりもない。
腕を掴まれそうになり、俺はそれを避けるように彼女の横を通り過ぎた。
「――え?先生!?」
すかさず服の袖を掴まれたけど、俺は構わず裏口のドアをあけ、病院の中へと足を進める。



