そのあと、彼女から聞いた話しは最悪なものだった。
何度も気まずそうに俺を見る彼女にかなりの衝撃を覚えながらその日、泣きぐずる彼女を半ば強引にタクシーに押し乗せ、俺も急いで自宅まで戻った。
そして感じた怒りと苛立ち。
俺はそんな思いを体中に巡らせながら次の日、仕事が終わるとすぐに車である場所へと向かっていた。
向かった先は他でもない俺の実家。
高校まで暮していただだっ広いだけが取り柄の、味気ない家だ。
正直、この道を通るのは何年ぶりだろう。
そう思いながらも俺は厳重な自宅の門をくぐり抜けると
「お帰りなさいませ!」
突然の俺の帰宅に、数名のメイド達が慌てだす。
バタバタと、驚きながら俺を見る始末。
けれど、今の俺にはそんな呼びかけに応えてる余裕なんてない。
俺はそのまま何も言わずに家の中に上がり込むと、険しい面持ちで奥の部屋へと足を進めた。