「だからさ、幸せってのは第三者の勝手な価値観で決めつけるもんじゃねーつーか。あー……だから、結局はその人本人次第の気持ちっていうか……
てかさ、俺だったら好きでもない女と結婚させられる方がよっぽど不幸だけどな」
「えっ……」
「つーかさ、何で俺があいつの肩を持たなきゃいけね―んだよ!あ〜ダメだ。本当まじイライラする!なんで俺がこんなこと言わなきゃいけねーんだよ」
そう言って何故か私をギロット睨んだ直輝が、急に切れたように私から背を向けた。
そしてズンズンと歩き、なぜか部屋から出て行こうとする。
「は?え?直輝!ちょっと何処行くの!?」
「お前なんかもう知らねー。勝手に泣いてろ!俺は今から仕事なんだよ!」
ドアを開け、作業着を乱暴に掴んだ直輝がめちゃくちゃ鋭い形相で振り返った。
「今日は夜勤だ。明日の朝帰ってくるから、それまでに少しはもっとましなことが言えるように反省してろ!」
「なっ!」
「いいか、俺は今のお前を優しく受け入れてやれるほどそんなできた人間じゃねーんだよ!
本当に子供のことを思うなら、もっとこれからのことをちゃんと真剣に考えてろ!」
バタン…!と乱暴に目の前のドアが閉まる。
そして唖然とする私。
ポツンと、一人部屋に残された瞬間ぎゅっと一気に胸が締めつけられた。
「も……う。いったい何なのよっ!」
そう呟きながら、再び涙が零れ落ちていた。
悔しくて、どうしようもないぐらい自分が情けなくて。
泣けて、泣けて。
……結局この日、私は泣きながら一睡もすることなんてできなかった。



