「さっきからあいつの幸せ幸せって言ってるけど、……それって、あいつがそう言ったのか?」
「え?」
「あいつがそう言って望んだことなのかよ」
私を横たわせた直輝の指先がそっと額の髪に触れる。
言いながら顔色を覗ってるようだったけど、私に向ける声はよりいっそう重みを増している。
「お前さ。今までずっと一緒にいていったいあいつの何を見てきたんだよ」
「……どういう、意味?」
「そのままの意味だよ。このままお前と別れることで本気であいつが幸せだって思ってんの?」
思わず首を傾けた。
言ってる意味が分からなくもないけれど、今一理解もできなかった。
「何よ。直輝らしくない。もっと分かりやすく言ってよ」
「………」
困惑する私にため息をつく直輝。
ほんの数秒難しい沈黙が続いたけれど、……でも、それを破ったのはやっぱり直輝の真剣な言葉だった。



