「ま、無理もないわね。私と違ってあんたが生まれた時にはもうすでに夫婦関係は冷え冷え。あの人がろくに家にいたことなんてなかったんだから」
「…ああ……」
「面と向かって父親らしいことをしてもらった記憶なんてないんじゃない?」
その言葉に陽生は何も返事をしなかった。
少し苦笑い気味に笑い、静香さんから視線を逸らして窓の外へ目を向ける。
なんだか泣きそうになった。
すごく弱った顔してる。
そんな陽生をひっそりと見つめながら、目の奥がじわじわと熱くなっていくのが分かる。
「なんならもう、いっそのこと駆け落ちでもしちゃったら?私は止めないわよ。何もかもふっ切って2人だけの生活っていうのも案外悪くないかもね」
「――ふっ、それができたらこんなに悩んでねーつーの。つーか普通に考えてそんなのは無理に決まってるし」
「ええ、そうね……」



