「ね?お願い……」



思わず涙がこぼれそうになって、手の甲を唇に寄せた。


泣くもんか……と、思っても鼻の奥がつ―んと熱くなっていくのが分かる。




「―――」



だけど、そんな私を陽生はしばらくの間黙って見てるだけだった。


何も言わず、何かと葛藤しているように眉を寄せていたけれど……



「ああ、そうだな。分かったよ。とりあえず果歩の気持ちは分かったから、お互い少し落ち着こうか?」



そう言って私の頭を引き寄せて、自分の胸に抱きしめるようにしてくれた。


ドクドクといつも以上に激しい鼓動を聞きながら。


結局この日、話し合いの決着はつかなかった。



そして…



『血の繋がった親子だからこそ許せないこともある』



眠りにつく直前そっと言われた言葉に、やっぱり切なさでいっぱいになってしまった。




とても……




苦しい苦しい夜だった。