甘い体温②・後編・


「……あのね、私聞いちゃったの。陽生のお父さんが病気で、もう長くないって……」


一瞬冗談かとも思ったけど……でも、あの言い方は嘘なんかじゃない。


第一そんなこと、確信がなかったら普通言ったりなんてしないよね?



「何か持病があるんだって。だから焦ってるって。お父さんも不安なんだよ、自分がいなくなった後の椎名グル―プをどう維持していこうかって、だから……」



そこまで言って、思わず俯いてしまった。


覚悟を決めたはずなのに、急にまた怖くなって、視線を逸らしてしまう。



うう……


自分の意気地のなさに泣きそうになってくる。


いざっていう時いっつもこうだ。


言葉はどもり、まともに顔が見れなくなってしまう。




「えっと、だからね。私……」


「ふーん」



もう一度口を開こうとした瞬間言葉を遮られた。


それは少し重みを含んだ声で。

ギシッと私から離れる陽生の素振りに気付き、ハッとして顔を上げた。



「へ~……持病ね。それってあとどれぐらいなわけ?」



だけど、想像以上に冷えた顔を向けられて、少し驚いてしまう。



「つーかそれ、いつ誰から聞いた?」


「え?」


「静香?それとも他の奴?……まさか、本人からとか言うんじゃないよな?」