「……あのね、私聞いちゃったの。陽生のお父さんが病気で、もう長くないって……」
一瞬冗談かとも思ったけど……でも、あの言い方は嘘なんかじゃない。
第一そんなこと、確信がなかったら普通言ったりなんてしないよね?
「何か持病があるんだって。だから焦ってるって。お父さんも不安なんだよ、自分がいなくなった後の椎名グル―プをどう維持していこうかって、だから……」
そこまで言って、思わず俯いてしまった。
覚悟を決めたはずなのに、急にまた怖くなって、視線を逸らしてしまう。
うう……
自分の意気地のなさに泣きそうになってくる。
いざっていう時いっつもこうだ。
言葉はどもり、まともに顔が見れなくなってしまう。
「えっと、だからね。私……」
「ふーん」
もう一度口を開こうとした瞬間言葉を遮られた。
それは少し重みを含んだ声で。
ギシッと私から離れる陽生の素振りに気付き、ハッとして顔を上げた。
「へ~……持病ね。それってあとどれぐらいなわけ?」
だけど、想像以上に冷えた顔を向けられて、少し驚いてしまう。
「つーかそれ、いつ誰から聞いた?」
「え?」
「静香?それとも他の奴?……まさか、本人からとか言うんじゃないよな?」



