「遠くって、……旅行……するの?」
首を傾けながらそう聞いた私に、陽生は少しだけ目を細めて私の背中を引き寄せた。
その瞬間、陽生の柔らかな髪が頬をくすぐって、額が私の肩に持たれかかる。
「……ああ、そうだな。できればずっと……」
そう、ポツリと聞こえた言葉にやっぱりすぐに反応ができなかった。
ただ固まって。
息をひそめながら、陽生の重みを肩で感じていた私。
「………ずっと?」
「そう、いっそこのまま今のマンション引き払って、どこか違うところに引っ越そうか?」
「え?」
「こんなまどろっこしい状況から解放される場所に。もっと気楽でゆっくりできるところで果歩と一緒に暮らしたい」



