甘い体温②・後編・


「結局は自分たちの都合かよ……って、俺ら子供のことはどうでもよかったのか、とか思ったら心底嫌気がさしてきてさ」


「……だから、家を、出たの?」


「も、あるけど、それ以前に前々から親父の態度が気に入らないのもあったんだ。自分勝手で、家庭をかえりみない冷めた態度……

そんな状態からひたすら反抗して椎名家から離れたかったっていうのが一番の理由だったのかもしれないな」


「………」



……そ、か……


だからなんだ。


陽生がお父さんに対して向けるあの冷たい態度。

そして冷めた感情。まさかそこにそんな深刻な問題があっただなんて思いもらしなかった。





「…陽生も……色々あったんだね」



……けど、それを同情するような言葉なんか出てこなかった。


だって、分かるから。

私も同じだったから。


陽生の気持ちは痛いほど理解できるから、「辛かったね」とか、そんな安易な慰めの言葉なんかで絶対にかたづけたくなんかない。