甘い体温②・後編・


陽生がそう言って私をぎゅっと抱き寄せる。



「少し前にさ、俺が言った言葉覚えてる?中学の時に母親が自殺したってやつ」


「あ、うん……」



私は緊張した面持ちで頷いた。


あれは確か4カ月ぐらい前だっけ?


夜景の見える公園で。


私が母親のことで悩んでる時に、陽生がこっそり教えてくれたことだった。



「ちょうど俺が14才で冬になった頃だったかな。運がいいのか悪いのか、たまたまその日体調不良で早退した俺が第一発見者でさ。
見た瞬間驚いたよ。風呂は血まみれ、お袋は青白くなってまるで別人のようにピクリとも動かない。……たぶん一瞬時が止まるってああいう時のことを言うんだろうなぁ」



少し複雑そうに口を緩めた陽生。


その時のことを思いだしてるの……かな?


天井に目を向けたまま、声だけが悲しみを帯びていく。