甘い体温②・後編・


「ママがっ、口からいっぱい血を吐いて……ヒック。う、動かなくなっちゃったのぉ」


「えっ」


「僕、何度も呼んだのに、一生懸命呼んだのに、ぜんぜん起きてくれなくてっ」



その言葉の意味に分からないはずがなかった。


泣きながら私にしがみ付く優と、目の前に広がる現実。


やたら物静かに見える病室の真っ白なドアが、余計重い緊張感を煽ってくるようだった。



「優……」


「実はさっき、急に容体が急変して倒れたんだよ」



誠二さんがそんな私達を見て、すごく苦しそうにそう言った。


泣き叫ぶ優の頭を撫でながら、誠二さんだって今にも崩れだしそうな雰囲気だ。



「あ、でもとりあえず一命は取りとめたって、今先生が……。
果歩ちゃんが来るほんの少し前にね。とりあえず落ち着いたみたいだから、安心していいと思う」


「………」



そ、なんだ……


ホッとして、思わず肩の力が抜けていく。