「悪いことは言わない。彼とは……今付き合ってる恋人とは別れた方がいいよ」
「な、何でですか!?」
また座らされて、私はよりいっそうキレ気味に彼を睨んだ。
その動きに合わせてふんわり漂ってきた宮川さんの香り。
ダメだ……。やっぱりこの匂いは私には合わない。
「――彼が怖い人だからだよ」
突然真剣な顔を向けられて、一瞬ドキリとした。
「えっ……」
「この業界じゃ、彼がとても恐ろしい人だって知ってるからだよ。……だから無理、歯向かわないほうが身の為だ」
「そんなっ……」
「人の情も優しさも何もない。都合の悪いものはけ落として、自分の信念のままにここまで上り詰めてきた人だ。彼はそういう人なんだ。
……だから、君みたいな可愛い子ちゃんに敵う相手じゃないよ」



