「悔しい……」
「ふっ、そんなに泣くとせっかくの美人が台無しだよ」
やっぱり私の抵抗なんて、この男にはなんの意味もない。
少し、苦笑いをうかべられるだけで、そのまま正面から抱きしめられて、頭をあやすように撫でられた。
「やだっ、触らないで!」
私は焦ったように体をよじる。
陽生以外の人に触られたくない。
陽生以外の人の体温なんて感じたくなんかない!
「うん、分かったから少し落ち着こうか?」
だけど、抵抗もむなしくさらにぎゅっと抱きしめられる。
陽生とは違う、少しきつめの香水の匂いに、本気でこのまま吐いてしまいそうで
「やだーー」
「あ―……はいはい。分かったから、暴れるのはやめようね。
……てか別に、今日ここで君を本気でなんかしようとは思ってないから安心しなよ」



