甘い体温②・後編・


エレベーターを出て、数メートル走ったところでふいに手首を掴まれた。



「やっ!」



途端気分が悪くなって、たまらずその場にしゃがみこんでしまう。


一気に走ったせいか、目の前が少し歪んで見える。


胸の奥から込み上げてくる気持ち悪さに、私は手を床に付き、こらえきれずゴホゴホと咳き込んでしまう。



「ちょっ、大丈夫!?」



追いかけてきた宮川さんが、そんな私の顔を覗き込む。


肩を抱き寄せられて、振り払おうとしたけれどまったく力が入らなかった。



「少し……落ちきなよ」



あやすように背中を撫でられても、私の怒りはおさまらない。


むしろ強くなる一方で、この気持ちをどうぶつけたらいいのかさえ分からなくなっていた。



「大人なんか嫌い……」



そう投げやりに叫んだ言葉は、きっとこの男には何の意味もない。


そしてこの状況も決して変わることのない、悔しい現実でしかないんだ。