「え、あれ?いらなかった?」
「いや違う。さすがにこれは飲めない」
陽生が苦笑いを浮かべて、テーブルの上をほらっと指差す。
「あ……」
見るとそこにはいったい何杯入れたの?ってぐらいの砂糖の容器の残骸が残っていた。
「ご、ごめん!」
それを見た瞬間私は慌てて陽生の手からカップをもらい、試しに一口飲んだ。
「うげっ、甘っっ」
それは見事に甘ったるいコーヒー。
いくら甘糖の私でもさすがにこれは酷い、って思うぐらいの悲惨なものだった。
「い、今淹れ直すからっ」
「いや、いいよ。それよりこっちにおいで」
突然手を掴まれて、あっとよろめく私。