気付いたら、瞳からじんわりと涙が浮かんでいた。
ダメだ。
泣いたらダメだ。
そう思うのに、勝手に溢れだそうとする激しい感情。
「ど……して、そこまでするんですか？」
お父さんの気持ちが分からない。
昔っから大人の考えてることなんてサッパリ分からなかったけれど……けど、この人はそれ以上に理解ができない。
「そんなに会社が大事ですか？自分の子供よりも？自分の利益のほうがそんなに重要なんですか？」
その問いかけにお父さんはすぐには何も答えなかった。
ただ、私を見つめるだけで、無表情に何かを考えてるようだったけど
「ああ、大事だ」
そう言ったお父さんに、涙がこぼれそうになる。
