「そんなっ……」
その言葉を聞いて、私は慌てて振り返った。
「いいかい?もっと利口になりなさい。君にとって何か得か、今までの私の話しを聞いていたらすぐに分かるようなものだろう?ましてや弟さんのためにも、ここは一つ君が大人になった方がいいんじゃないのかね」
「…っ……」
「幼い弟さんの為にも、1日も長くお母さんが生きていけるように選択する。それが一番いい方法だとは私は思うがね」
ドクンッ……
ずるい。
こんなの……ずるい。
こんな言い方、優を引き合いに出すなんて卑怯だよ。
酷すぎる。
「酷いかね、別に恨みたいなら恨みなさい。けど所詮どんなに君があがこうが状況は変わらない。君が陽生と一緒になることはないと思いなさい」
ズキン……と心に重く響く。
まるでナイフで刺されたかのように、体全体に衝撃がはしる。



